予告
上映作品
『圧殺の森 —高崎経済大学闘争の記録—』
1967年、モノクロ、105分、16mm
監督:小川紳介
群馬県にある高崎経済大学を舞台に繰り広げられる学生闘争を追った作品。学校側の裏口入学が問題となり、学生たちの闘争心に火をつけ、彼らは学内にある学生ホールを占拠し学校と対立した。当事者たちの中に入り込み、彼らと同じ視点から描く小川ドキュメンタリーを確立した記念碑的作品。DVD未発売。
『絞死刑』
1968年、モノクロ、117分、35mm
監督:大島渚
ある日、死刑執行が何故か失敗した。在日韓国人である被告を、もう一度処刑台へ送るため執行人たちは奔走する。国家も個人も飲み込む「社会」という怪物の様々な姿を鋭く強烈なユーモアにしてしまった本作は、1968年度キネマ旬報ベストテン第3位、及び脚本賞に輝き、監督自身初のカンヌ出品作となった。大島監督の希望通り「爆笑」しながら、その恐さを銀幕で味わおう。
『日大闘争』『続日大闘争』
1968年、モノクロ、113分、16mm
製作:日大全共闘映画班
「学生運動のない大学」の学生が、大学当局の20億円使途不明金問題をきっかけに、68年5月に全共闘を結成。244日におよぶ校舎占拠、9月30日の大衆団交「勝利」の瞬間までを描く『日大闘争』。『続日大闘争』はその後を追った続編。叛逆のバリケードの中で闘い、学び、生きた学生を日大生自らが撮影した作品二本立て。10数年ぶりのフィルム上映。
『緋牡丹博徒』
1968年、カラー、98分、35mm
監督:山下耕作
女任侠スター藤純子のシリーズ第一作。”緋牡丹のお竜”が女ながらの義理と人情のしがらみの中に生き、きりっとした中にも女らしさを秘めた物腰が実に魅力的。22歳で主役を張った藤純子は、全国から拍手喝采で受け入れられ、不動の人気を獲得する。監督には名匠山下耕作を迎え、東映任侠映画は頂点に達した。
『死者よ来たりて我が退路を断て』
1969年、モノクロ、65分、16mm、DVD上映
製作:グループびじょん
日大芸術学部は堅牢なバリケードを築き、1968年の秋から学生たちは「芸」と記されたヘルメットを被り、権力と戦っていた。日本映画新社の有志が「グループびじょん」としてその中に潜入し、機動隊が突入する翌年の2月までの間に渡って撮影した、自主制作の記録映画である。『日大闘争』2本と比べよう。
『パルチザン前史』
1969年、モノクロ、120分、16mm
監督:土本典昭
水俣病の映画で知られるドキュメンタリーの巨匠、土本典昭監督が小川プロで撮った唯一の作品。「日本のゲバラ」と呼ばれた革命家・滝田修と緊密な関係となり、京大闘争を中心に権力・機動隊と闘う様子が収められる。ゲバ棒、火炎瓶が行き交い、燃え上がる車。「学生運動」の域を超えた内乱を目の当たりにする。DVD未発売。
『東風』
1969年、カラー、97分、35mm、Blu-ray上映
監督:ジャン=リュック・ゴダール
「ヌーヴェル・ヴァーグ」の旗手ゴダールが、1969年当時のイタリアにおける五月革命の余波を映画に収めた作品。ゴダールが「ジガ・ヴェルトフ集団」を名乗り映画と政治の関係性を積極的に題材にしていた時期であり、同作では音と映像が氾濫する実験的な手法で、階級闘争、映画そのものの革命にまで迫る。
『光の雨』
2001年、カラー、130分、35mm
監督:高橋伴明
物語の登場人物たちによって小説『光の雨』が“映画化”されていく。「革命」「革命戦士」「自己批判」「総括」「アジテーション」「オルグ」「セクト」「赤色パルチザン」そして、「連合赤軍」。現在と過去が交差することで、「運動」から一歩距離を置いた視点が生まれる。「当時」を知らない私たちに最も近い立場から、改めて「あの時代」を考えさせてくれる。
『ドリーマーズ』
2003年、カラー、117分、35mm [R-15+]
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
1968年、5月革命前夜のパリ。アメリカ人留学生マシューは、不思議な双子の姉弟と出会い親密な関係になっていく。『ラストエンペラー』を世に放った巨匠ベルナルド・ベルトルッチがどうしても撮りたかった革命世代への換歌。当時抗議行動をしたジャン=ピエール・レオーが、同じ動作を見せる現在の姿も感動的だ。
『69 sixty nine』
2004年、カラー、114分、35mm [PG-12]
監督:李相日
ベトナム反戦運動、エンタープライズ闘争、そして大学紛争が激化していた1969年。長崎・佐世保の高校生ケン(妻夫木聡)は、憧れの女性レディ・ジェーン(太田莉菜)のハートを射止めるためにフェスティバルを企てる。次第にそれは大事件に発展していき…。脚本は演劇界の鬼才・宮藤官九郎。『フラガール』で大ブレイクする直前の李相日監督の愛すべき傑作。
『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』
2008年、カラー、190分、35mm [R-15+]
監督:若松孝二
第58回ベルリン国際映画祭の最優秀アジア映画賞・国際芸術映画評論連盟賞など、様々な賞を受賞。日本中を騒然とさせた、あさま山荘事件。あの事件はなぜ起こったのか。連合赤軍側からの視点で、彼らの生き様や事件までの道程を力強く描く。鬼才・若松孝二監督が「この作品を撮らないことには死ねない!」と語ったほどに力の入った傑作。
『マイ・バック・ページ』
2011年、カラー、141分、35mm
監督:山下敦弘
1960年代後半―激動の時代。若きジャーナリスト沢田(妻夫木聡)と革命家、梅山(松山ケンイチ)、二人の運命的な出会いが引き起こした衝撃の事件。原作は文芸・映画評論など広く活躍する川本三郎が自身の体験をもとに綴ったノンフィクション。若き鬼才・山下敦弘監督が、現代的感覚で当時をみずみずしく再現した2011年一番の話題作。
『マイ・バック・ページ』における学生運動は私たちには想像できない世界でした。 彼らは何のために戦ったのか。私たちが生まれる前に何があったのか。 そして何故こんなにも、この映画の終わり、学生運動の終わりはもの悲しい気持ちにさせるのか。 最初はそのような小さな疑問でした。 しかし、その疑問から始まり調べて行くにつれ、この時代の異様な熱気が その時代の映画から、またはその時代を舞台にした映画からとめどなく溢れてくるように感じられました。1960年代、世界は革命運動という流れに包まれていました。 映画もまた、その多くの革命と同様に、革新的な変化を遂げていました。 映画作家は撮影所から現場へカメラを持ち出し、その熱気をフィルムに収めていました。 私たちはこの時代の熱気がこめられた数多くの映画の中から、選りすぐりの作品を一同に集め、上映することにしました。
あの運動の是非を、歴史的意味を映画から判断することはできない。 でも、ここに集まった映画は、あの時代がなければ生まれることはなかった。 私たちはこの映画祭で、学生運動の是非や偏見から捉えられがちなそれらの革新的な「映画」を、 今の学生の視点で、改めて評価したい。 この映画祭の中には暴力と非合法性があるかもしれない。 しかしそのフィルムに焼きついている「新しさ」を求めて、映画を上映します。 映画祭には当時を生きた人々、この時代をテーマに後に映画を撮った人々をゲストに招きます。 いくつもの時代が交錯する、現役の日芸生による企画です。
「自分たちが生まれる前に何があったのか?1本の映画『マイ・バック・ページ』をきっかけに
動き始めた学生たちの好奇心は、“1968年”というテーマのもと、
明日を照らす光を求めて1つの祭りに結実しました。その成果をぜひご覧下さい」
渡辺祥子(映画評論家/日本大学芸術学部講師)

「今年初めて授業の一環で、学生が映画祭を企画することにした。それも学内ではなく一般の映画館で。
“学生運動”というテーマには驚いたが、作品も自分たちで決めて、映画会社と交渉をしてしまった。
立派なチラシまでできて、これで客が大勢来たら本当に嫉妬しそうだ」
古賀 太(日本大学芸術学部教授)
上映スケジュール
上映スケジュールカレンダー 料金表

トークショーゲストの ご案内


日時:2012年1月28日(土)~2 月 3 日(金)
主催:日本大学芸術学部映画学科理論・評論コース 3 年 / オーディトリウム渋谷
「1968年」に様々な形で関わり、対面してきた方々をゲストにお招きし、お話を頂きます。
眞武善行:元日本大学芸術学部闘争委員会委員長
高橋伴明監督:代表作に『BOX 袴田事件 命とは』『光の雨』
山下敦弘監督:近年の作品に『マイ・バック・ページ』『リンダ リンダ リンダ』
上野千鶴子さん:社会学者、フェミニスト。近著に『ケアの社会学』(太田出版)
塚本公雄さん:日大全共闘映画班。『続日大闘争』の撮影を一部担当。
若松孝二監督:近年の作品に『キャタピラー』『実録・連合赤軍あさま山荘への道程』
大津幸四郎:『圧殺の森-高崎経済大学闘争の記録-』や『パルチザン前史』を撮影。
笠井潔:ミステリ作家、批評家。代表作に「矢吹駆シリーズ」
1月28日(土) 上映後14:00~14:20
眞武善行(元日大芸術学部闘争委員会委員長) 『日大闘争』『続日大闘争』
1月29日(日)19:50~20:10 高橋伴明監督『光の雨』
1月30日(月)19:25~19:45 山下敦弘監督『マイ・バック・ページ』
1月31日(火)12:30~12:50 上野千鶴子『東風』
上映後『日大闘争』『続日大闘争』 塚本公雄(日大全共闘映画班)
2月1日(水)上映後22:30〜22:50
若松孝二監督『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』
2月2日(木)17:55~18:15 大津幸四郎『パルチザン前史』
2月3日(金)20:50~21:10 笠井潔『圧殺の森-高崎経済大学闘争の記録-』
※ スケジュール、ゲスト等は、変更する場合がございます。予めご了承ください。
尚、ゲストによるトークショーは『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』『日大闘争』『続日大闘争』を除き、すべて上映前を予定しております。
劇場アクセス・お問い合わせ
オーディトリウム渋谷

オーディトリウム渋谷

【劇場案内】オーディトリウム渋谷(136席)
      東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS2F
【お問い合わせ】03-6809-0538
【アクセス】京王井の頭線神泉駅下車、徒歩6分/渋谷駅から徒歩8分

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info@eigasai1968.com

Twitter: @eigasai1968

主催:日本大学芸術学部映画学科理論評論コース3年/オーディトリウム渋谷

上映協力:(株)アイ・ヴィー・シー/アスミック・エース エンタテインメント(株)/アテネ・フランセ文化センター/映画美学校/(株)大島プロダクション/

小川プロダクション/(株)角川書店/川崎市アートセンター/グループびじょん/(株)ザジ フィルムズ/(株)CIA/(株)ジェイ・シネカノン/(株)ステューディオスリー/

(株)ダッサイ・フィルムズ シネマヴェーラ渋谷/東映(株)/日大全共闘映画班/(株)ハピネット/(株)ブロウアップ/若松プロダクション