群馬県にある高崎経済大学を舞台に繰り広げられる学生闘争を追った作品。学校側の裏口入学が問題となり、学生たちの闘争心に火をつけ、彼らは学内にある学生ホールを占拠し学校と対立した。当事者たちの中に入り込み、彼らと同じ視点から描く小川ドキュメンタリーを確立した記念碑的作品。DVD未発売。
ある日、死刑執行が何故か失敗した。在日韓国人である被告を、もう一度処刑台へ送るため執行人たちは奔走する。国家も個人も飲み込む「社会」という怪物の様々な姿を鋭く強烈なユーモアにしてしまった本作は、1968年度キネマ旬報ベストテン第3位、及び脚本賞に輝き、監督自身初のカンヌ出品作となった。大島監督の希望通り「爆笑」しながら、その恐さを銀幕で味わおう。
「学生運動のない大学」の学生が、大学当局の20億円使途不明金問題をきっかけに、68年5月に全共闘を結成。244日におよぶ校舎占拠、9月30日の大衆団交「勝利」の瞬間までを描く『日大闘争』。『続日大闘争』はその後を追った続編。叛逆のバリケードの中で闘い、学び、生きた学生を日大生自らが撮影した作品二本立て。10数年ぶりのフィルム上映。
女任侠スター藤純子のシリーズ第一作。”緋牡丹のお竜”が女ながらの義理と人情のしがらみの中に生き、きりっとした中にも女らしさを秘めた物腰が実に魅力的。22歳で主役を張った藤純子は、全国から拍手喝采で受け入れられ、不動の人気を獲得する。監督には名匠山下耕作を迎え、東映任侠映画は頂点に達した。
日大芸術学部は堅牢なバリケードを築き、1968年の秋から学生たちは「芸」と記されたヘルメットを被り、権力と戦っていた。日本映画新社の有志が「グループびじょん」としてその中に潜入し、機動隊が突入する翌年の2月までの間に渡って撮影した、自主制作の記録映画である。『日大闘争』2本と比べよう。
水俣病の映画で知られるドキュメンタリーの巨匠、土本典昭監督が小川プロで撮った唯一の作品。「日本のゲバラ」と呼ばれた革命家・滝田修と緊密な関係となり、京大闘争を中心に権力・機動隊と闘う様子が収められる。ゲバ棒、火炎瓶が行き交い、燃え上がる車。「学生運動」の域を超えた内乱を目の当たりにする。DVD未発売。
「ヌーヴェル・ヴァーグ」の旗手ゴダールが、1969年当時のイタリアにおける五月革命の余波を映画に収めた作品。ゴダールが「ジガ・ヴェルトフ集団」を名乗り映画と政治の関係性を積極的に題材にしていた時期であり、同作では音と映像が氾濫する実験的な手法で、階級闘争、映画そのものの革命にまで迫る。
物語の登場人物たちによって小説『光の雨』が“映画化”されていく。「革命」「革命戦士」「自己批判」「総括」「アジテーション」「オルグ」「セクト」「赤色パルチザン」そして、「連合赤軍」。現在と過去が交差することで、「運動」から一歩距離を置いた視点が生まれる。「当時」を知らない私たちに最も近い立場から、改めて「あの時代」を考えさせてくれる。
1968年、5月革命前夜のパリ。アメリカ人留学生マシューは、不思議な双子の姉弟と出会い親密な関係になっていく。『ラストエンペラー』を世に放った巨匠ベルナルド・ベルトルッチがどうしても撮りたかった革命世代への換歌。当時抗議行動をしたジャン=ピエール・レオーが、同じ動作を見せる現在の姿も感動的だ。
ベトナム反戦運動、エンタープライズ闘争、そして大学紛争が激化していた1969年。長崎・佐世保の高校生ケン(妻夫木聡)は、憧れの女性レディ・ジェーン(太田莉菜)のハートを射止めるためにフェスティバルを企てる。次第にそれは大事件に発展していき…。脚本は演劇界の鬼才・宮藤官九郎。『フラガール』で大ブレイクする直前の李相日監督の愛すべき傑作。
第58回ベルリン国際映画祭の最優秀アジア映画賞・国際芸術映画評論連盟賞など、様々な賞を受賞。日本中を騒然とさせた、あさま山荘事件。あの事件はなぜ起こったのか。連合赤軍側からの視点で、彼らの生き様や事件までの道程を力強く描く。鬼才・若松孝二監督が「この作品を撮らないことには死ねない!」と語ったほどに力の入った傑作。
1960年代後半―激動の時代。若きジャーナリスト沢田(妻夫木聡)と革命家、梅山(松山ケンイチ)、二人の運命的な出会いが引き起こした衝撃の事件。原作は文芸・映画評論など広く活躍する川本三郎が自身の体験をもとに綴ったノンフィクション。若き鬼才・山下敦弘監督が、現代的感覚で当時をみずみずしく再現した2011年一番の話題作。